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公開日:2023.05.31
更新日:2026.02.06
自治体におけるさまざまな業務を、外部に委託したいと考えたことはありませんか?多くの業界で注目されている「BPO」は、自治体業務でも導入が進んでいます。
本記事では、自治体BPOの現状や依頼できる業務の例、導入するメリットについてわかりやすく解説しています。BPOを活用している自治体の事例や、導入時の注意点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
目次 ➖
はじめに、BPOの基本を整理しておきましょう。アウトソーシングとは異なる概念のため、明確に区別しておくことが大切です。
BPOは広い意味での外部委託ですが、単純に業務の一部を外部の事業者に委託することではありません。BPOには次のプロセスが含まれます。
上記のプロセスを包括的に委託できることがBPOの大きな特徴です。BPOとは、業務プロセスを一括で外部委託することを指します。
外部委託の一形態として「アウトソーシング」が挙げられます。アウトソーシングとは、業務の一部を切り出して外部に委託することです。業務プロセス自体に変更を加えることなく、そのまま外部の事業者に委託することを指します。
BPOの場合、業務の企画・設計をはじめ、分析まで含めて委託できます。従来の業務プロセスを改善したり、必要に応じて変更を加えたりすることもあり得るのです。このように、業務プロセスの一部を切り出すアウトソーシングと、業務プロセスを一括で委託するBPOとでは対応可能な範囲が大きく異なります。
自治体業務において、BPOの活用はどのくらい広がっているのでしょうか。自治体BPOの市場規模の現状と今後の予測について解説します。
自治体BPOの市場規模は2023年度の時点で5兆645億円に達しており、2017年度における市場規模(4兆2,339億円)の約1.2倍と拡大傾向にあります(※)。
自治体BPOが拡大している背景には、住民のニーズの多様化や事業規模の維持を余儀なくされている実態があります。自治体人口が減少し、利用者が減少傾向にあったとしても、事業の縮小や撤退には踏み切れない事情を抱えているケースも少なくありません。こうした中、職員の負担軽減や人員削減を実現するために、業務を一括して委託できるBPOの活用が広がっていると考えられます。
自治体向けBPOサービスの市場規模が年平均2.1%の成長率で推移した場合、2027年度には5兆5,015億円に達する見込みです。自治体がBPOを活用して業務の効率化・合理化を図ることは、今後ますます一般的になっていくと予想されます。
自治体BPOの市場規模拡大に伴い、BPOサービス事業者も今後さらに増加していく可能性があります。それぞれのBPOサービス事業者が独自のサービスを打ち出すことにより、自治体ごとに適したサービスをより一層選択しやすくなっていくでしょう。
※出典:矢野経済研究所「自治体向けBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2024年)」
BPOサービス事業者にはどのような業務を依頼できるのでしょうか。自治体BPOを活用可能な業務の例を紹介します(※)。
※委託可能な業務の種類や範囲はBPOサービス事業者ごとに異なります。ここで例に挙げているのは、エイジェックグループの自治体BPOが提供するサービス内容です。
たとえばマイナンバー関連業務であれば、申請・交付補助業務やマイキーID設定、健康保険証や銀行口座との紐付け業務、コールセンター業務などを一括で委託できます。また、チラシ等の印刷・封入業務や会場の調整・設営・撤去業務、HP制作、ノベルティ作成といった業務も委託可能です。
改正戸籍法関連業務では、戸籍への振り仮名記載に関する業務の包括支援が可能です。不着により戻ってきた通知の確認や再発送、書類不備等の確認業務などもまとめて委託できるため、職員の皆さまの負担を大幅に軽減できます。
自治体への問い合わせ対応(インバウンド)から発信業務(アウトバウンド)まで、コールセンター業務を一括で委託できます。職員の皆さまが電話対応に追われるのを防ぎ、業務に集中しやすい環境を整備したい場合におすすめです。
医療関連業務の一括委託にも対応可能です。一例として、乳幼児医療健診であれば、医師のみ・保健師のみの手配や、受付・予約などのBPO業務のみなど、ご要望に応じて自由にカスタマイズできます。
給付金業務を総合的にサポートするサービスです。給付時期前によく見られる、突発的な業務量の変動に適応できる組織づくりに寄与します。
施設の安全な運営ならびにセキュリティ対策に欠かせない警備業務についても、総合的にサポート可能です。安定的な人員確保と、ノウハウを活かした質の高い対応を実現します。
施設内の清掃に関しても、BPOサービスに一括で委託可能です。職員の方々が担当業務に専念しやすい環境の整備につながります。
中央監視装置監視や館内巡回点検、各機器運転管理などを一括で委託できます。また、敷地内の植栽管理に関してもBPOサービスに委託可能です。
自治体業務にBPOを導入することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な4つのメリットを見ていきましょう。
自治体業務に関するノウハウのある事業者に委託することで、職員の業務量を削減できます。近年は地方分権の推進により、自治体が担うべき役割が大きくなっているのが実情です。職員数が大きく変わっていないとすれば、職員1人あたりの業務負担は重くなるのが必然といえます。
自治体業務に必要なノウハウを保有し、実態に合わせて柔軟に対応できるBPOサービス事業者に委託することにより、職員が担当すべき業務をスリム化できることは大きなメリットの1つです。職員の業務過多や長時間労働が顕在化しつつある自治体においては、とくに実感しやすいメリットといえるでしょう。
現在の業務プロセスが内包している課題は、長年続いている慣習と深く結びついているケースは少なくありません。既存の業務プロセスに精通している職員ほど、慣習的に続けてきた業務の3M(ムリ・ムダ・ムラ)には気づきにくいものです。
BPOの活用を通じて、内部では気づきにくい業務の課題を洗い出し、客観的な視点で改善策を検討できます。担当者ごとに属人化しやすい業務の標準化を図ることにもつながるため、担当者の退職リスクに備えた対策にもなるでしょう。
業務プロセスを一括で外部委託することにより、職員をコア業務に配置しやすくなります。利用者へのきめ細かな対応にも注力しやすくなるため、行政サービス全体の質を向上させることにつながるでしょう。
業務過多や長時間労働は職員の疲弊を招きやすく、ヒューマンエラーの原因にもなります。こうした状況が慢性化すると、利用者に迷惑をかける事態にも発展しかねません。BPOの活用によって業務の効率化・合理化を図ることは、職員だけでなく利用者にとってもメリットとなり得るのです。
近年はデジタル化やDX化など、時代のニーズに応じて業務の進め方も変化しつつあります。自治体業務も例外ではなく、時代に合った仕組みを取り入れる必要に迫られていくことになるでしょう。
BPOを導入することによって、デジタル化・DX化が可能な業務の提案や、導入・運用に関するサポートを受けられます。大規模なシステムを導入することなく、デジタル化・DX化に必要なノウハウやリソースを活用できることは、自治体業務にBPOを導入するメリットの1つといえるでしょう。
自治体業務にBPOを導入したことにより、課題解決につながった事例を紹介します。
福島県須賀川市では、市民向けサービスの向上とコスト削減をいかに両立させるかが課題となっていました。従来、業務ごとに委託事業者へ発注していたため、職員は個々に委託先との調整を進める必要がありました。職員が業務過多になりやすく、窓口業務の対応が遅くなり、住民の待ち時間が増えてしまうといった課題を抱えていたのです。
そこで、窓口業務・施設管理業務・清掃業務・警備業務・電話交換業務にBPOサービスを導入。これにより委託窓口を一本化し、職員による煩雑な調整業務を削減しました。包括業務委託により、各種調整が必要な際にワンストップで対応できるようになったことが大きなメリットです。
福岡市では、約163万人へのマイナンバーカード普及を図るため、申請受付業務とマイナポイント設定業務を包括委託しました。役所のほか市内各地にマイナンバー窓口を設置したことで、市民課窓口の混雑が緩和され、より多くの申請受付が実現しました。また、窓口へ赴かなくても気軽に問い合わせができるコールセンターを福岡オフィスに開設。これにより、各窓口への混雑緩和と職員の皆さまの負担軽減につながっています。
さらに、申請時来庁方式の導入により、マイナンバーカードを自宅で受け取れるようになり、住民の方々の利便性向上にも寄与しています。自治体BPOによって、混雑緩和・負担軽減・普及促進を同時に実現した好例です。
神奈川県綾瀬市では、国が実施を義務化している1歳6カ月児および3歳6カ月児健診をはじめとした乳幼児健診の委託を全国に先駆けて実施しました。医療資源が限られていること、市の人材が不足していることが同市の課題でした。
そこで、BPOサービスに各種乳幼児健診の会場の設営、医師や保健師等各健診ごとに必要な医療従事者の配置、会場の運営などを委託することにより、円滑な運営を実現。さらに、担当課の代表番号にかかってくる電話の一次対応や、がん検診・講座などの予約受付、予防接種記録や健診記録のデータ入力、医療機関から提出のあった請求書の審査や医療機関への連絡業務等にもBPOを活用することで、スピーディーな対応と業務効率化を両立しています。
神奈川県厚木市では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための接種体制確保に即座に対応するためにBPOを活用しました。接種券の印刷業務や住民からの問い合わせに対応するコールセンター、会場の設営、医療従事者の配置、会場の運営などを一貫して包括委託したことにより、円滑かつ安全な接種体制を構築しました。また、接種を行っていく過程で随時変化していく運営方法やワクチンの種類にも柔軟に対応し、住民の方々の安全確保を実現しています。
自治体業務にBPOを導入する際には、いくつか注意すべき点があります。BPOの効果を最大限に発揮するためにも、次の点を押さえておきましょう。
BPOサービスと一口にいっても、対応可能な業務は事業者によってさまざまです。民間企業の業務に関しては実績が豊富であっても、自治体業務に関する実績がほとんどない場合、自治体業務の実態を踏まえた対応は現実的に難しいことも想定されます。
自治体業務の受託実績が十分にあるか、自治体業務特有の事情を理解しているか、十分に確認した上でBPO事業者を選定することが大切です。過去の実績や具体的な事例について問い合わせるなど、自治体業務への対応状況を必ずチェックしておきましょう。
BPOとアウトソーシングでは委託できる業務の範囲が大きく異なります。事業者の中には、「電話代理業務のみ」「警備業務のみ」など、一部の業務に特化したアウトソースにしか対応できないケースも少なくありません。
自治体サービスの利用者にとって、部門間の分断は不満やストレスを抱える原因となります。業務の一部を切り出して委託するのではなく、業務を総合的に委託できる事業者を選定するほうが合理的でしょう。業務の企画や設計、施策の実行、分析までを包括的に委託できる事業者を見極めるのがポイントです。
自治体業務では、利用者の個人情報をはじめとする機密性の高い情報を扱います。情報管理体制が整備されている事業者を選ぶことは必須条件といえるでしょう。自治体業務に関する実績とあわせて、情報管理の体制についても必ずチェックしておくことが大切です。
たとえば、プライバシーマークやISOの取得状況はBPO事業者の管理体制を判断する基準となり得ます。契約前に必ずセキュリティポリシーの提示を依頼し、信頼できる事業者かどうかを見極める必要があるでしょう。
自治体業務におけるBPOサービスの活用は年々拡大しており、業務の効率化や合理化、DX推進に向けた対策として一般的なものとなりつつあります。職員の皆さまの負担を軽減するとともに、行政サービスの質向上を図るためにも、BPOの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
エイジェックグループでは、自治体業務に特化した「自治体総合BPO」を提供しています。窓口業務や施設管理業務の包括委託をはじめ、自治体様のニーズに合わせた業務範囲での委託が可能です。これまで16の政令指定都市を含む全国162自治体の受託実績で培った実績やノウハウに根差した、質の高いサービスを提供できます。BPOを検討中の自治体様は、ぜひエイジェックグループの自治体総合BPOサービスをご活用ください。
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